こんにちは。ひびうた文庫管理人の、アイマ イモコです。
毎年、夏暑くなるにつれて心身の調子が良くなる。極度の冷え性のせいかもしれない。
元気になるのはいいが、年々過酷さを増す暑さの中、やたら外出したくなるので困る。
昨年炎天下の下帽子もかぶらずに奈良公園から東大寺付近を歩き回って、軽い熱中症のような状態になり、目の前が暗くなった。奈良の新緑に見とれていて、日差しの強さを忘れていたのである。
春の花、秋の紅葉はもちろん美しいと思うが、夏の緑が一番好きだ。
まさに力いっぱいという感じで濃緑の葉を茂らせる木々の合間から、強い陽光が漏れている光景を目にするとき、自分も地球の一部なのだということが、ありありと感じられる。
伊勢神宮や椿大社、下鴨神社などの杜、大台ケ原の宮川流域、飛騨の山際等、印象に残っている緑の風景はいくつかある。
地球温暖化がこのまま進むと、地上から美しい緑がどんどんなくなってしまうのではないかと思うと、心寂しくて仕方がない。自分も地球も生きている間に、できるだけ心洗われるような自然の姿をたくさん見たいものだ。
今回は自然の美しさをとらえた本を三冊紹介しようと思う。本を読んで感動した方は、実際に自然と触れ合いに外に出かけてみるのもいいかもしれない。国の感染対策でも、野外に出かけることは禁止されていないし。ただ、熱中症にはくれぐれもご注意を。
ちなみに最近私はどういうわけか、やたらと山に登りたくて仕方ない。三重県内で初心者でも登りやすい山の情報があれば、ぜひ教えてください。
①『草の辞典』 森乃おと著 雷鳥社
病で家に引きこもっていたころ、なまった体を動かすために家の畑仕事を手伝っていた。子供のころ以来土を触ったことなどなかったので、畑での日々は、初めて見るものとの出会いの連続だった。春先には、土の中から見たことのない斬新な色柄の虫たちが顔を出し、しょっちゅう悲鳴をあげて逃げ出さねばならなかった。だが、度重なる虫との遭遇にもかかわらず、自分を畑に引き戻してくれたのは、心和ませる可憐な草花との出会いだった。丸いオレンジ色の明るい花や、小さなピンク色の花弁が集まった花。しげしげと眺めていると、一緒に畑仕事をしていた母が、「それは雑草だから捨てなさい」と、容赦なく宣告するのだった…。 本書には、おそらく畑に生えていたら雑草として抜き去られてしまうであろう草花の名前や特徴が、美しい写真と共に収められている。本書のおかげで、私はあのオレンジ色の花がナガミヒナゲシという名前だったことがわかった。名前がわかると、ことさら愛着がわくものである。さらに、添えてある花言葉を見ると、「心の平静、癒し、慰め」とある。本書を読んで、私はさらにこの花が大好きになった。
②『そら色の夢』 高砂淳二・写真 パイ インターナショナル
空は、誰の頭の上にも広がっている。一生の中で、空を目にしない日の方が少ないかもしれない。
それゆえ、意識して空を見つめる機会というものは、それほど多くないかもしれない。しかし、何気なく空を眺めた瞬間に、その美しさに息を呑んだ経験のある人は、決して少なくないと思う。
本書には、世界各地の地面あるいは海の上から空を写した写真が収められている。空は、世界を等しく覆っている、一つの空である。しかし、眺める場所や時間によって、同じ空がなんと多彩な顔を見せることか。そして、私たちは、赤道近くの南の島の上に広がる青空にも、極寒の北国の夜空を彩るオーロラにも、心を揺さぶられる。空の美しさを感じることのできる心は、自分だけではなく周囲の環境を考えること、ひいては、世界平和を願うことのできる心につながる第一歩かもしれないと、空の写真を眺めながらぼんやり思った。
③『にっぽんスズメ歳時記』 中村さとる・写真 KANZEN
一番身近な野鳥というば、何であろうか。今は違うのかもしれないが、一昔前は、その答えは断然「スズメ」だった。
私が子供の頃は、家の庭、畑、通学路、近くの電信柱の上など、あらゆるところでスズメの姿を見かけた。幼いころは、その丸っこいフォルムやヨチヨチした歩き方に心惹かれ、何とか間近で見ようと後を追いかけたりしたが、成長するにしたがって、スズメの姿は自分にとってあまりにもありふれたものとなり、その存在を意識することもなくなった。
今回この写真集を手に取ってみて、表紙のまん丸い羽毛の集合体にどうしようもなく目が釘付けになった。身近にあって目にも留めなかったものの魅力を明らかにしてくれるのが、写真の良い所のひとつだと思う。何であれ、本で読むなどして以前よりよく知るようになったものに対しては、知る前より親しみが増すような気がする。次からスズメを町で見かけたら、よりじっくり見てみたくなりそうだ。
と思っていたら、最近はスズメを見かけることが、以前より少なくなっているような気がする。名前の良く分からない小さな鳥が身近に増えた分、スズメはその居場所を縮小せざるを得なくなっているのかもしれない。野鳥などの身近な存在は、地球の環境の状態を如実に表しているような気がする。鳥にとってやさしい環境が、我々にとってもよい環境であることは間違いないように思う。
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