仕事のアナキズム

こんにちは。

 

2015年開所以来、出会いの数だけ働き方が増えていきました。

 

しかし、国の制度に頼るだけでは働くことができない仲間がいました。

 

そこで、独自の働き方をつくることにしました。

 

以下、現時点でのひびうたの働き方を紹介します。

 

・役員として働く

役員は時間に関係なく、自分の仕事を管理しながら働いています。会社の責任を担っています。

 

・社員として働く

社員は一日8時間の週5日間、働いています。ケアの責任を担いながら、事業の管理を行っています。

 

・パート/アルバイトとして働く

一日2時間~5時間の週2日~5日間、働いています。家庭があったり、本業がありながらも、現場のケアや管理補助を行っています。

 

・障がい者雇用として働く

一日4時間の週5日間、働いています。障がいを抱えながらも、仲間のケアを行っています。過去には障がい者雇用から社員になった方もいます。

 

ここまでの働き方は一般的かもしれません。

 

ここからの働き方は出会いから生まれました。

 

・就労支援を受けながら働く(制度を利用する)

一日2時間~4時間の週2日~5日間、働いています。三つの部門に分かれて、個別にケアを受けながら特性に合った仕事をしています。

 

※来年度は以下の働き方ができるようになります。

※一人暮らしや将来的な雇用を目指すコースです。

一日6時間の週5日間、働きます。二つの部門に分かれて、個別にケアを受けながら特性に合った仕事をします。

 

さらに、ここからの働き方は制度を利用しない独自の方法です。

 

・就労支援を受けながら働く(制度を利用しない)

一日1時間~2時間の週1日~2日間、働いています。

 

制度を利用してもしなくても、同じようにケアを受けることができます。ではなぜ、制度を利用しない人がいるのかというと、2018年度の制度改正によって、平均工賃(就労支援を受けながら働いている人に支払われる給料の平均額)と、支援費(就労支援を提供している事業所に行政(国と県と市)から支払われる報酬額)が比例するようになったからです。それまでは、平均工賃に関係なく、支援費は支援した人数によって決まっていました。この制度改正には反対意見が強くありましたが、質の悪い支援や工賃が上がらない仕事をしていても支援費が一律であることや、支援費を工賃にあてがう事業所が増えたことなどの課題があったことは明らかです。ですので私としては、大筋としての制度改正には賛成です。質の良い支援をして、工賃を上げていける仕事をつくることは、福祉だけではなく事業もしていかなくてはなりませんが、国の税収(支援費は税収で支払われる)が少子高齢化などで低下している状況等を考えると、福祉だけをやっていたらいい時代はすでに終わりを迎えているはずだからです。

 

ただ、細かく制度を見ていくと一つだけ納得のいかないことがあります。それは、平均工賃と支援費が比例するということは、事業所として平均工賃を上げたくなるのは当然のことで、そうするために毎日働ける人を優遇するようになることです。制度改正の反対意見にも能力主義を助長しているとの指摘がありましたが、この部分については同意できます。

 

大切なことは、就労支援を受けながら安心して働けることと、質の高い就労支援をしている事業所が存続できることを考えると、制度に頼るだけではこの二つを両立させることは難しいです。

 

●平均工賃を上げられる人だけが働き、事業所が存続する。

●平均工賃に関係なく多様な人が働き、事業所が存続しない。

 

どちらかの道しかありません。

 

そこで、ひびうたでは仲間の働き方に合わせて、制度を使うか使わないかを振り分けました。その代わりに、制度の有無に関わらず、同じ質と量の就労支援を行うことにしました。

 

そうすることで、

 

〇平均工賃に関係なく多様な人が働き、事業所が存続する。

 

という第三の道が開かれました。 

 

・就労支援を受けながらインターンとして働く(制度を利用しない)

大学生が長期休みを利用して、就労支援を受けながらインターンとして働きます。インターンがうまくいけば、卒業後に就労支援を受けながら働くことの内定が出る仕組みです。

 

一般企業への就職活動をする気にはなれなかった仲間が、就労支援を受けながら働けるならやってみたいと言ってくれたのがきっかけで、生まれました。

 

ホンツヅキ三重という古本市のイベントでひびうたのことを知り、居場所とつながり、今年の夏休みには学習塾の講師をしてくれました。

 

本ブログの写真は彼女が居場所で書き物(撮影のための演出が入っている)をしている様子です。

 

大学の進路担当の先生に、「インターンと就職先が決まりそう」と報告をすると、「就活しないんじゃなかったの」と驚かれたそうです。

 

これも制度を利用しない就職活動であり、働き方です。

ただし内定後は制度を利用して働くことになります。

 

国の制度で使えるものは使い、使えないものは独自で生み出していく。

 

働きたい人が一人でも多く安心して働けるようになれば嬉しいです。

 

2022年11月13日

ひびうた 大東悠二

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コメント: 1
  • #1

    wada yoko (水曜日, 23 11月 2022 13:57)

    よーく考えながら、ベストな運営をしようと考えてくださっている姿勢が素晴らしいです�