ブックハウスひびうたの取扱出版社さん紹介⑤クルミド出版さん

こんにちは。ブックハウスひびうた管理者の村田です。

 

読書週間特集、ブックハウスひびうたがお世話になっている出版社さん&書籍紹介シリーズ第五弾は、東京都国分寺市のカフェ、クルミドコーヒーさんが始めた出版社、「クルミド出版」さんです。

 

クルミド出版

 東京都国分寺にあるカフェ・クルミドコーヒーに通うふたりのお客様が書き溜めた文章を本にすることから始まった出版社。目の前の一人の願いから始まったというエピソードに、共感を覚えます。紙や版型にまでとことんこだわった、美しい本をつくっていらっしゃいます。静かなカフェでゆっくり味わいながら読みたい本ばかり。

 

10年後、ともに会いに』 寺井暁子 著 

アメリカの高校を卒業してから10年、世界中に飛び立っていったあの頃の友に会いに行く。

ロマンチックな旅と思いきや、イスラエルの友人とパレスチナの友人の間で板挟みになったり、エジプト滞在中に起こった「アラブの春」に巻き込まれたり。

平和な日本にいると忘れがちなことですが、私たちは歴史の流れの上に生きているんだということに気づかせてくれる一冊です。20代後半の彼らの生き方や悩みにも、心を揺さぶられるものがあるはずです。

 

『やがて森になる』 小谷ふみ 著 

人が成長するのは、木が育つのに似ている。

子どもが生まれてからの日々を、弾むような感性で綴った短文集。

子どもと一緒の日々だって、毎日が輝いているわけじゃない。

別れや病気、辛いこともたくさんあるけれど、いつも前を向いている子どもがいるから、前を向いて生きるしかない。

顔をあげて前を向いたら見えてきた、きれいなもの、面白いもの。

そんなガラス玉のような思い出が、ぎゅっとつまった一冊です。

 

『こどもの時間-Childhood-』 エミリー. R. グロショルツ著/早川教子 訳

子どもの目線で世界を見る。

言葉でいうのは簡単ですが、誰にでもできることではありません。

子どもの目を持っている数少ない詩人、アメリカのエミリー.R. グロショルツさん初の日本語対訳詩集です。

冒頭の雨の日の出来事をうたった詩を読むと、少年少女の頃眺めた雨のことを思い出します。

また、戦争についての詩には、子どもたちを何としても暴力から守るという、母の強い決意が表れています。

平和と子どもたちの幸せを願う詩には、同じく平和を祈り続けた画家・いわさきちひろさんの挿絵がぴったりです。

 

『草原からの手紙』 寺井暁子 著 

 マサイの道約120kmを6日間かけて歩く。

 マサイの長老との出会いからプロジェクトに参加することになった著者は、家族を残してひとりケニアへ旅立ちます。

 一緒に参加するのはマサイの若者たちとヨーロッパからの旅行者たち。

 考え方や文化の違いに戸惑ったり反発したりし合いながら旅を続けるうちに、次第にお互いの間に思いやりと友情が生まれます。

 異なった背景を持つ人々と共にアフリカの雄大な自然の中に身を置きながら、故国に居る大切な人に向けて綴った手紙のような紀行文。

 広大なアフリカの大地、マサイの人々の鮮やかな衣服の写真にも目を奪われます。

 

『りんどう珈琲』 古川誠 著 

 房総半島の海辺の町に佇む小さな喫茶店、「りんどう珈琲」。

音楽の好きなマスターが営む喫茶店には、心に傷を負った人たちが集まってきて、静かにその人生を語りだします。

 たったひとりのアルバイト、高校生の柊は、寡黙なマスターやお客さんに接する中で、ゆっくりと大人へ成長していきます。

 海辺の町に吹く風のようにさわやかな連作短編集。

 「りんどう珈琲」は、「静かで黙々と自分の人生を生きる人」の居場所。

 傷ついて、心に雨が降っている日も、本を開けばマスターと柊が、いつでも居場所に迎え入れてくれます。

 

 

『カフェから時代は創られる』 飯田美樹著 

ピカソ、藤田嗣治、ボーヴォワール、ヘミングウェイ…これらの人々の共通点とは?

それは、20世紀初頭のパリのカフェに集っていたこと。

本書では、芸術・思想の世界における「天才」という人々を多く輩出した20世紀のパリのカフェに注目し、彼らがいかにしてそこで「天才」になっていったのか、「天才」たちを引き寄せたカフェの魅力とはどういうものだったのかを考察しています。

パリに出ていった若き芸術家たちは、カフェで同じ道を志す者や、すでにその道の第一線を歩んでいる人たちと出会い、刺激を受けることで、その才能を開花させていったのだとか。

これからの日本のコミュニティの在り方を考える上でも、学ぶところの多い一冊です。

 

 

『続・ゆっくり、いそげ』 影山知明 著

 一人一人が大切にされる社会をつくるには― △から▽へ、植物が育つように経済・社会をつくるなど、印象的なキーワードで新しい生活とコミュニティの在り方を提唱するクルミドコーヒー店主・影山知明さんの最新著作。

 今の社会が設計図に人や仕事をあてはめようとする「自動車工場」のような傾向を持っていることを指摘し、それとは別に、そこにいる人やそこにあるものの可能性を引き出し、新たな出会いからどんどん枝を伸ばしていく「植物」のような社会を提案しています。

 本当に大切なのは、組織や売上、目標達成ではなくて、安心できる日常があり、そこにいる人が生き生きしていられること。なんでもないことのようだけれど、そのような「幹」を育てる事こそ絶え間ない努力が必要なのだと気づかせてくれる本です。

 また、何かしたいけれど何をすればよいかわからない人たちにも、「自分の中に種があることをやる」「まわりを生かすことから始める」などヒントがいっぱい。

 

出会いを大切にし、人との縁から植物が育つようにクルミドコーヒー、また国分寺という町の文化を育ててこられたクルミド出版代表の影山知明さんは、ひびうたにとっては偉大な先輩です。

迷ったとき、これでいいのかなと自信がなくなりそうになった時は、なんども『続・ゆっくり、いそげ』を読み返して、自分の辰一を見直していきたいです。

 

ブックハウスひびうた 管理者

村田奈穂

 

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コメント: 1
  • #1

    ゆうき (土曜日, 23 12月 2023 14:25)

    クルミド出版は「ゆっくり。いそげ」「続・ゆっくり、いそげ」「カフェから時代は創られる」の3冊が手元にあるのですが、素敵な紹介を拝見して他の書籍も読んでみたくなりました!
    物語も好きなので、「りんどう珈琲」とても気になります。