さみしさのむこうに

2024年8月4日、新月

栗の木の前に建つ丘の上の家に引っ越した。

 

「真剣になる時が来た。偶然は、もうおしまい。新月は決断の時。先の運命がわからなくても、決断する時。決断するの。」

 

映画【ベルリン・天使の詩】でマリオンの独白を聞いたとき、真剣になることにした。

 

さみしさのむこうにある景色を見ようと。

さみしさのむこうにいる誰かと会おうと。

さみしさのむこうにしる心を感じようと。

 

これまでも何度かさみしさのむこうにある世界に足を踏み入れようとしたことがある。

冷や汗や動悸と共にさみしさのむこうのてまえでいつもの世界に引き返されていった。

 

自分はもう大丈夫、と思っているときにこそ揺り戻され、変われないまま時を過ごした。

 

さみしさを何かでごまかしていた。

さみしさと向き合うのが怖かった。

さみしさに敵わないと諦めていた。

 

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2024年11月16日、満月

ひびフェスの初日、真剣になってから、4度目の満月を迎える。

1日が1カ月に感じることもあったが、生命を燃やし続けた。

完全燃焼したところが、居場所になると信じて。

 

さみしさのむこうにをテーマにたくさんの詩が届けられた。

さみしさのむこうにをテーマにみんなと合作詩をつくった。

 

当日の夜、キャンドルの灯りに詩の言葉一つ一つが照らされ、

耳で目で心で感じる、さみしさのむこうにある世界と出会う。

 

天気予報は詩の朗読会に合わせて雨模様。

自然が、どんな演出を見せてくれるのか。

 

しんしんと雨がしずかに降り続いていたある日の午後。

尊敬する詩人に「詩は水の言葉」と聞いたことが、心に強く残っている。

水は受け取る人の手の形によって、変形していく。

詩の言葉も受け取る人の心によって変わるだろう。

 

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2024年11月18日、未明

しし座流星群が極大を迎える。

一人見上げる夜空に流れる星に願いをかけよう。

 

「さみしさのむこうに居続けられますように」

 

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2024年11月14日

代表 大東悠二

さみしさのむこうにをテーマに書いた詩