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とにかくやる気がない日の本

こんにちは。ひびうた文庫管理人の、アイマ イモコです。

 

暑い。

6月はいつからこんなに暑くなってしまったのか。

暑いうえに、梅雨はしっかり来る。

空は曇っているし、雨のけぶるにおいはするし、汗はかくし、自分の周りのすべてが湿っているようだ。

私は湿気と日光の不足に弱い。したがって、6月は常にやる気がない。

6月1日にひびうた珈琲が「Non & High caffeine ひびうた珈琲」としてリニューアルオープンし、皆が希望と目標意識に燃えているときに、何たる言い草だと思われるかもしれないが、梅雨に弱いことは変えようがない。

もちろん居場所スタッフとして、コーヒーをお客様に届けるため日々汗を流す仲間をバックアップする気概は充分である。しかし、休日ともなると、畳に転がって、愚にもつかないウェブサイトなど眺めながら1日ぼんやり過ごしている。

ここしばらくのぐうたら生活の原因のひとつとして、1カ月ほど続いた外出自粛期間の生活習慣が固定化し、家でだらだらすることが癖になってしまったことも考えられる。

ここはひとつ、ぐうたらのサイクルを打破するために、ジョギングや太極拳でも始めてみればいいのかも知れない。

しかし、そうは言ってもやる気のないときに無理に突飛なことを始めようとしても、三日続けば御の字なのであって、かえって余計な疲労をため込んで動けなくなることも容易に想像できる。

仕方がないので、やる気のない人の本でも読んで、心を慰めようと思う。

思えば、ナマケモノにしても、昼寝中のパンダにしても、やる気のなさそうなものは、どことなくユーモラスでかわいい。人間勤勉が徳とされるが、ぐうたらにも一分の利があると考えてもよいのかもしれない。

 

①『怠惰の美徳』 梅崎春生 著/ 荻原魚雷 編 中公文庫

 梅崎春生という人は、知る人ぞ知る名文家である。自らの従軍経験を基にした小説『桜島』で文壇から注目を浴び、戦後派を代表する作家として、直木賞を始めとする数々の文学賞に輝いた。と、いうのが梅崎に対する一般的な見方であろうが、本書では何を差し置いてもその「ぐうたらっぷり」に焦点が当てられている。折角入った大学には試験のときしか出席せず、就職活動はほぼ全滅、専業作家生活に入ってからは、一日10時間以上眠り、起きている間もほとんど横になっている…という、なんとも潔い(?)だらだら生活が明かされている。著者は、自らのやる気のない毎日を、悲哀と羞恥とユーモアとわずかな誇りがないまぜになった筆致で描き出している。なんとも「残念」な日常なのだが、読んでいる者は笑わずにはいられない。一種の諦念さえ感じさせるぐうたら人生を貫く彼の姿勢に、一抹の憧れの念を抱かなくもない。また、何もせずにだらだらしている時間が彼の観察眼と洞察力に磨きをかけ、小説家としての力を高めたのではないかとも思われる。

 

②『がんばらない練習』 pha著 幻冬舎

私が「現代の梅崎春生っぽいな」と思うのが、ブロガー兼(元)シェアハウス発起人のphaさんだ。

phaさんは有名大学を卒業後一旦就職したものの、自分が会社勤めにまったく向いていないことに気づき、退職してインターネットの知識を駆使しながら生計を立ててきた。そのニート生活を綴ったブログが人気を博し、今では幅広く文筆活動を展開している。

本書はphaさんが自らの「がんばらない」ライフスタイルについて著したエッセイ集だ。

phaさんも、上記の梅崎春生と同じように、そもそもそんなにがんばれない自分の姿を、羞恥と諦念がないまぜになったような視点でとらえている。「もっとがんばっていろいろなことができたらいいんだろうけど、まあ自分はこの性分なんだから仕方ないな」というニュアンスが冷静でいいと思う。

私もどちらかというと「そもそもがんばれない(あるいは人が普通にできることをめちゃくちゃがんばらないとできないから、他のことに割く力が残らない)」タイプの人間なのだが、そのことに対して強い罪悪感や羞恥心を抱きがちだ。あるいは、自分を正当化しようとしすぎて、「がんばらないことこそ善なのだ!」という強硬姿勢をとっている人も多く見かける気がする。phaさんくらい冷静に自分の「がんばれなさ」をとらえることができたら、がんばらなくてももうちょっと気楽に生きられるのかなというような気もする。 

 

③『つまんないつまんない』 ヨシタケシンスケ著 白泉社

人間というものは贅沢なもので、忙しいときは「なんにもしないで一日ぼーっと寝ていたいなあ」と思うものだが、なんにもしないで一日ぼーっと寝ているような日が続くと、強烈な退屈に襲われていてもたってもいられなくなるはずだ。

私は一昨年重病にかかって約二年間なんにもしないで一日ぼーっと寝ている生活が続いたのだが、その期間の最後の方には、うわごとのように「働きたい。外に出たい」と繰り返していた。今回のコロナウィルス禍による自粛期間で同じような退屈地獄を味わった人が多いだろう。

本書は「つまんない」ことについて徹底的に考える絵本である。

そもそも「つまんない」ってどういう感情なのか。何故「つまんない」状態が生まれるのか。

本書には問いのみが提示されていて、その答えは書かれていない。なぜなら、「つまんないことをいっぱい考えるのが面白い」からである。

答えがすぐに提示されると、問題というものは急速に「つまんなく」なっていく。本書で問われる問題には、はっきりした一つの回答というものはない。本気で考えようと思ったら、いくらでも考え続けられる。考えることの面白さに気づいたら、自分の身の回りで疑問に感じていることを、なんでも深く考えてみるのも楽しそうだ。そうやっていろいろなことに考えをめぐらせていると、なんにもしないで一日ぼーっと寝ている日にも、ある種の張り合いが出てくるかもしれない。

 

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