居場所宅配サービスvol.3について

七都道府県への緊急事態宣言と同時に始めた、居場所宅配サービス。

全国への緊急事態宣言と同時に始めた、居場所宅配サービスvol.2。

社会の変化に応じようとサービスの内容も変化させてきました。

 

このサービスを始めて、まず一番に感じることは人間の善性です。

私たちの取り組みに賛同してくださった方から、たくさんの寄贈本をいただき、真心の寄付をいただき、応援のメッセージやお手紙をいただき、SNS等で情報を広めていただきました。

 

新型コロナウイルスに感染した人への差別や、医療従事者への偏見など、人間の醜い悪性が噴出しているなかで、たくさんの真心を頂戴し、何とか前を向いて生きて行こうと思えるほど励ましていただいています。

いつも応援や激励をしてくださる皆様、本当にありがとうございます。

 

多くの人もそうかと思いますが、私たちはいま岐路に立たされています。

経営的にもそうですが、これまで何に依存して生きていたのかということを、個人としても会社としても向き合わされている気がします。

「自立することは、依存すること」と教えてくれたのは前職のNPO法人の理事長でした。

理事長は脳性麻痺で生まれ現在は24時間、ヘルパーを利用しながら自立されています。

まさに自立するために依存されている方の言葉だけに胸に響きました。

新型コロナウイルスの影響で今まで依存していた「もの」や「こと」や「ひと」や「場所」に依存できなくなっています。

売上もそうです。

居場所2月の延べ利用者数が276人で、3月の延べ利用者数が229人で約18%減でした、

福祉の事業とはいえ人が来なければ売上は下がります。

珈琲の事業は一番大きかったイベントやマルシェでの売上がゼロになりました。

 

ただそんな苦境の中でも、明るい話題もあります。

福祉に関しては、自宅にいると精神的にしんどいという方が変わらず居場所に来てくれています。

「ここが開いていて助かっています」と何人もの方におっしゃっていただいたり「入館前に体温を測ることでもっと安心して通えるようになる」と通所するための対策を一緒に考えてくれています。

また珈琲に関しては、これまで逆に売上がゼロだった、地元の産直市場さん、他団体さんのWEBサイト、カフェさんへの卸売り、居場所宅配サービスなど、ゼロからイチが生まれています。

さらに、otonamieさん、FM三重さん、中日新聞さん、津いんヴォイスさん、ZTVさん、三重テレビさん、日本農業新聞さんなど、これまで各メディアで取り上げていただいたことで、居場所や珈琲についてのお問い合わせを今もいただいています。

どのメディアに関しても、すべてが人とのつながりによって実現したことですので、関わってくださったみなさんに感謝しています。

このようにたくさんの人に支えられているおかげで、会社の運営を続けさせていただいています。

 

そんな私たちが、お世話になっている人への恩返しや、生きにくさを抱えた人たちを応援する気持ちで始めたのが、居場所宅配サービスです。

(このサービスの精神は"贈る気持ち"で行っていますので、こちらにほとんど利益が出ない仕組みになっています。)

緊急事態宣言が出されてから2週間が経過し、日用品を買う人たちで密になるというニュースをよく聞きます。

そのようなニュースを聞く度、いま特に必要なものは日用品であることを実感します。

 

そこで居場所宅配サービスvol.3では、日用品でもある珈琲だけを届けるメニューを追加しました。

ひびうた珈琲では2020年4月~ダブル焙煎製法で手間暇かけた珈琲を販売しています。

そのためそれ以前に製造したシングル焙煎製法で旧パッケージの珈琲が行き場をなくしています。

イベントやマルシェ等があれば、旧パッケージの珈琲も価格を下げて販売することができたかもしれませんが、そういったわけにもいかなくなりましたので、居場所宅配サービスvol.3にて特別価格で販売することにしました。

こちらの珈琲を購入してくださることで、経営が安定するわけではありません。

繰り返しになりますが、販売の目的は恩返しと応援をすることです。

ただひとつ珈琲を購入してくださることで、私たちの励みになることがあります。

それは、障害や病気など様々な生きにくさを抱えながら珈琲を作ってきた仲間の努力が報われることです。

今は珈琲の仕事だけでは厳しいため、地元企業の請負作業(箱折り)もさせていただいています。

文句も言わずひたすら箱を折り続ける姿を見て、本当に悔しく申し訳ない気持ちになります。

「本当は好きな珈琲の作業がしたい」はずなのに、言わずに我慢してもらっているのがわかるだけに辛いです。

「いつになったら」ということも言ってあげることができません。

せめて「みんなで作った珈琲が売れたよ」という報告をしてあげたいと思っています。

だからといって私たちのために購入してほしいというわけではなく、ご自分のために購入してくださることが結果として私たちの励みにもなっていることを知っていただければ嬉しいです。

 

vol.3以前の本とコーヒーと手紙の組み合わせを自由に選べるサービスも継続しています。

居場所がなくて困っている方や、珈琲を買いに出かけるのが不安な方がいらっしゃいましたら、居場所宅配サービスvol.3をぜひご利用ください。

 

一人でも多くの方に「本とコーヒーのある、居場所」が届きますように。

 

いつも長文を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 

ひびうた 代表 大東悠二